練馬区向山 W様邸 スケルトンリフォーム 増改築事例
施工事例データ
施工概要 | 改築 1LDK敷地面積68㎡建築面積 平屋建て:39.75㎡ 大人2名 |
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地名 | 練馬区向山 |
築年数 | 50年 |
工期 | 4ヶ月 |
建築費1300万円(建物診断費、設計費:平面図、立面図、電気図、パース込み)+その他工事 リフォーム内容 平屋リフォーム 工事範囲:ベタ基礎補強、基礎増し打ち、筋交い・金物類(全てやり替え)、梁補強、断熱材(床、壁、天井)、軒、破風、樋(新品交換)、間取り変更など 電気新設(電気電話配管、照明、スイッチ)、水道新設(上下水配管、給湯器、給湯配管)、ガス配管新設 建材新品:外壁防水剥離⇒新規(外壁材KMEW)・サッシ新規(シャッター付ペアーガラス)、玄関新規(断熱ドア)、キッチン・カップボード(パナソニック)、トイレ(パナソニック:暖房乾燥便座)、浴室(パナソニック:暖房乾燥機付)、壁(ボード・クロス)、床・建具・玄関収納(トステム)、TV家具、収納棚、ニッチ、 壁補強ほか + その他工事 外構:玄関まわり(タイル、スロープ、土間)、ポスト、表札、建物周り犬走り、防草シート砕石など |
大手建材メーカー様からのご紹介でした。ある日「ご相談したいことがあるのですが。」と建材メーカーさんから電話があり、直ぐに来社「西井工務店さんなら・・・よい返事をもらえる」とリフォームのご依頼でした。
詳しく話を伺ってみると、建物が古く道幅がかなり狭いとのことで、聞けば即答できる内容ではなさそうなので、とにかく現場を拝見して、それからお客様にお会いさせてもらうことにしました。
現場は、道幅が1.7m、計画地までは30m入ったところでした。しばらく立ち止まり、工事をする為の条件を頭の中でいろいろ巡らせ、工事手順を一通りイメージします。現場で、解体、工事中の仮設水道、電気など「できなくはなさそうだな。」と言う程度の目処は付けました。取あえず写真を撮り持ち帰り検討。そしてお客様には「工事はできそうです。お時間を下さい。」とお答えをしました。
工事価格がいくらでもと言う訳にはいかないので、工事方法をもう少し検討しなければなりません。実は付け加えて難しいことが、建物の築年数が50年経過していることです。半世紀前の建物というと、現在の建築物とは材も工法も全く違うし、そこのところもしっかり検討しなければなりません。
しかし、半世紀も前の建物となると、家の歴史がたくさん詰まり家族にとっての文化遺産で、建物のあちらこちらに幼い頃の落書きや傷があったりして、昔の写真でも見るような自分と重なる想いがします。お客様は、生まれ育ってきたこの場所でずっと住んで行きたいというリフォーム工事での拘りは、我々も敵えなければならないという使命感を感じました。
さて、まずは工事を行うにあたって、道幅や越境する近隣の方々にご理解が得られるかがかなり重要なことになります。どれだけ特別な工事方法を考えたとしても、近隣の方々に理解してもらえなければ、工事は不可能という判定になります。
お客様は「近隣とは長いお付き合いなので、たぶんご協力頂けます。」とのことです。
工事ご挨拶を済ませ、工事に入ることになりました。
古い建物になると、構造の骨格となる柱、梁でも腐食や劣化が激しいこともあり、解体だけでも注意が必要になります。搬入経路が狭い為、解体して更に切り刻んで、一輪車に乗せて30m押して搬出します。新しい材料を搬入する時も同じで、人力で行う作業が多く時間も結構かかってしまうこととなります。
施工現場の見取り図
幅1.7M道路延長30M(再建築不可)
建替えの可能性
まず、家を新しくすることを考えた場合、誰もが建て替え(新築)の検討をされると思います。そこで、予算の検討、工期や時期の検討、どれぐらいの規模が建つかとかで、建築基準法はどうなんだろとか考えます。
そして、お住まいの町並みが古かった場合、いろいろと建築基準法に悩ませらることでしょう。建築基準法は、古い町並みには合わないようにできています。都市として当然、災害に備えた町づくりとして、個々の建物に及んで規制の網を設けています。それは、道路の定義からその接道のこと、建物については延焼の危険性に関した、隣地からの距離とか使用する材料までのことを規定した内容に広がります。
今回は、道路の定義(基本的に幅4m)で大きな壁に当たってしまいます。
4m無くても、市や区で道路として認められているところも少なくなく、道路課、建築課で調べれば直ぐわかります。
また、道路認定がされていなくても協議してもらうことは可能ですが、かなりの日数と手間、お金がかかることがあります。
しかし、現況の幅が1.8mを下回った場合、協議をして下りる可能性は、極めて少ないようです。
そして、道路と接していても、結局、現在の建ペイ率、容積率に当てはめて建て替えを考えれば、現状より建物は小さくなり、家族のそれぞれの空間が狭くなってしまい、断念してしまうところも多いはずです。
実際は、町づくりと生活とが反発しあう仕組みとなっている街並みでは、なかなか建て替えが容易ではなくて、結論的にスケルトンリフォームという方法が選択されることになります。
ご提案(スケルトンリフォームを選択することで可能なこと)
段差があって足元が危ないのはバリアフリーという言葉もなかった時代の建物。外から玄関上がるまで、どれだけ段差があるか若い時は気にならないので大した問題ではありません。トイレに行く時にもお風呂へ入るのにも跨ぎがあるし、部屋のドアのちょっとしたレールでさえ障害物になります。
新築だと今では、室内をバリアフリーにするのは当然で、外からリビング、和室に入るところも段差の無いように設計します。玄関扉は、断熱ドアの引戸にしたり、新築であれば、いちいちオーダーしなくても、そのような仕様になっています。
リフォームの場合は、躯体はそのままなので、段差解消でさえ結構大事です。工期もお金もかかる箇所が何ヶ所かあります。
スケルトンリフォームの場合、建築基準法に沿った形で、建物をほとんど丸裸にしてしまいます。床の高さも一から設定しなおします。メンテしやすく床下に潜りやすい高さに、床もオールフラットで、新築同様、何も言わなくても当たり前にバリアフリーになります。断熱性能も、ペアーガラスサッシ、床、壁、屋根(若しくは天井)に魔法瓶のように断熱材が入り、高気密高断熱も標準仕様、もちろん耐震においても、筋交や耐震壁の設置が容易になるので、建物の耐震バランスまで検討します。
私どものスケルトンリフォームには、近い将来、制震装置も入れる予定です。そして最終的には、新築と変わらない内容のものとして、長期優良住宅、低炭素住宅の認定住宅レベルのリフォームを目指しています。
50年の間、ご家族が育った家は歴史が詰まり、スケルトンリフォーム工事をしての住まいのこだわりを感じます。
屋根の解体(解体といっても、仮補強しながらの熟練の大工仕事となります。釘を丁寧に抜き解体していきます。)
暖かみのある、キッチンになりました。